[読書]普通とは何か?正常とは何か?[哲学する脳科学]

脳科学者:池谷裕二さんと作家:中村うさぎさんの本です。帯の言葉に惹かれて読んでみました。「普通、◯◯だよね」とよく耳にしますが、フツウって何なのでしょうか。

 

脳はみんな病んでいる  2019/1/31
池谷裕二  中村うさぎ

脳はみんな病んでいる

 

本書の中にこういう記述がありました。

DNAを調べればすぐに認識できるはずです。
人は誰しも少なくとも数十種の疾患や障害を抱えながら生きているということを。健康な人など世界中で一人もいないということを。ならば、なおのこと問いたくなります。《正常》とは何なのでしょうか

 

自分の心身の状態や体の形状について「私、普通じゃないな~」と不安になったり悲観的になることが社会人になってからありました。(たまに、ですが)

そんな私に《少なくとも数十種の疾患や障害を抱えながら生きている》という言葉は「おぉ、そうか。なんだか良かった」と思わせてくれます。

 

では「なんだか良かった」とホッとするのはなぜなのか。それも本書にヒントがありました。

 

古代ギリシアの哲人ソクラテスはこう述べます。
「数学の答えは多数決では決まらない。善悪の判断も同じだ」。

しかし、なぜ彼は、これほど自明な主張をあえてしたのでしょうか。おそらく、世間に「多数決は正しい」という考え方がまかり通っていたからでしょう。

実際、多数決は多用されます。選挙や議決だけでなく、「正常と異常」や「常識と非常識」の線引きにさえも、暗に多数決が通底しています。

たとえば、私たちの足の指は五本です。

四本になると「欠指症」、つまり「異常」あるいは「障害」と診断されます。理由はシンプルです。「五本指が多数派」だからです。一方、イヌの後肢に指が五本あったら、逆に「多指症」と診断されます。四本指が多数派だからです。しかし、少数派だからといって、単純に「病気」や「奇形」と決め付けてよいのでしょうか

 

ソクラテスが生きている時代から、我々人間は「多数決」にブンブン振り回されてきた、ということですね。(私も例外ではなく、まさにその一人)

 

多数決から外れてるからといってそれが「悪」ではないし、かといって「善」でもない。人間としての「味」みたいなものなんだと本書を読んで思えてきました☺️

普通って何だ