中学の時、クラスメイトの女子から「貴子(←私)はすぐ泣くからズルい」と言われたことがあります。
イジメられてか、喧嘩で泣いたのを同級生からそう言われ「そうか。泣くって悪いことなんだ」と自分の中で定義付けし、それ以来、努めて泣かないようにしてきました。
どんなに感動する映画をみても、一人じゃなければわざとお笑いのシーンを思い出し、気持ちを外にもっていく。そうやって泣かない方法を身に着けました。
先日、母の車を売却する為に買取専門店に持っていった時の話です。
最後の手続きを終えていざ車とサヨナラをする時、母はさめざめと泣いていました。
「ちょっと。お母さんやめてよ(苦笑)」
私は恥ずかしくなり、母をなだめながら営業マンの男性に「車を売る時に泣く人なんているんですか?」と尋ねてみました。
すると
「はい!たくさんいらっしゃいますよ」とのこと。
車を手放す時に涙を流す人はたくさんいる。
楽しいシーンを共に過ごした車に対して特別な思いがこみ上げてくるのかもしれませんね。
ホロホロと泣く母をみて、私は「かわいいな」とも思いました。また、ここで車とのお別れに泣いている人達も愛おしいなとも思いました。
悲しい、せつない、感謝のきもち、
それが素直に溢れ出るなんて、素敵じゃないですか。
中学の同級生から言われた言葉に悩んでいた時、母から「でも泣けるって良いことなんよ。泣ける人間っていいんよ!」と励ましてもらったことを思い出しました。
反抗期真っ只中だった私にとって、こんな母の励ましの言葉は当時全く届きませんでした。
素直に泣けるのは良いこと。
それが感動や嬉しさからこみ上げてくる涙ならなお良いですね。